ネバーランド(恩田陸)

つまらないドラマは心に残らない。
がしかし、ドが過ぎてつまらないドラマは案外心に残ってしまう。数年前見た「ネバーランド」が私にとっては、それだ。

ところがこのドラマが心に残ってしまったのは私だけではなかったらしい。中学でも高校でも大学でも職場でも、どこにいっても会話のネタになった。 ある意味凄いドラマだと思う。

自分の成長と共に評価が変わってくるドラマや、届いてくる感動が異なるドラマはあるけれど、ネバーランドに関してはそういった可能性もないだろうと思っていた。

ところが、近所のブックオフをぶらついていた時、「お行」の前で私はフリーズすることになる。

「ネバーランド 恩田陸」

まさかと思って背表紙のあらすじを読んでさらなる衝撃を受けた。 そう、散々ネタにしてきたあのドラマの原作者が恩田陸さんだったのだ。

まさかノスタルジアの魔術師が書いていたなんて・・・・・。 いや、恩田さんならありうる。

こんな私の中の勝手なプロローグを経て・・・

数年間「積本」をした後、3日前にとうとう読み終えた。 すぐに手をつけなかったのはちょっとした抵抗があったのかもしれない。

職場に持っていく本を用意し忘れて、朝のドタバタの中カバンに突っ込んだ。 そういうことがなければ未だに手を付けてないかも。

記憶の中のドラマ版ネバーランドを引っ張りだしてきて、小説を読み進めた。 間違いなくあのドラマの原作だった。

が、しかし・・・・

圧倒的に面白い。背表紙を読んだ時から薄々気づいていたけれど恩田陸ワールド全開だった。 そうだよね、高校の寮を舞台にして、少年たちを描かせちゃったら・・・間違いなく魔術師の力全開だよね・・・。

ブックデータベースにはこうあります。

舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

あー、くそー、面白かったよー。

なんで恩田さんはこんなものを書けてしまえるんだろうか? 本当に凄い人だね。 木曜組曲でも、夜のピクニックでもその才能の凄さに驚いたけれど・・・・。まさかネタにしていたネバーランドの原作がこんな面白い作品だなんて。アンテナは色んなところに張っておかなければダメですね。

主人公たちがとても良い!年相応の悪さをしつつも、伝統高の学生らしく凛としている。本当に美しいバランスだった。

誰にも言えない秘密を打ち明けて、それを受け止めようとする仲間達がとにかく眩しい。

光浩のエピソードはかなり厳しい面もあったけれど、最期のあの幕の引き方で嫌悪感ではなく別の何かが残った。光浩には素晴らしい未来が待ち構えていると断言出来る。

ドラマは色んなボタンをかけ違えたことと、原作に色々付け足したのが失敗だったと思う。 ボーイズラブ物だった印象が強いし、少年たちは陰鬱としていて、キラキラしているとは言い難かった。

ただ、本来はこういうことをしたかったんだなと思うと、今後はとてもネタには出来ないと思う。

映像表現って本当に難しい。 文章だとこんなに心に響いてくるのに。 (得に恩田さんは映像化は難しい作家さんだろうなー)

だからこそ、成功している映像表現ってとんでもなく凄いんじゃないか!ということも再考出来た。

映画版夜のピクニック、木曜組曲にも手を出してみようかな。

あとがき

最近、松屋のフレッシュトマトカレーにハマっている。

フレッシュトマトカレー 
これをカレーと呼んでよいものなのかはわからないけれど・・・・昨日、今日で3食食べてます。 店員さんも「こいつフレッシュトマトカレー食べ好きだろ!」と思っていると思う。

そういう視線を考慮しても・・・食べないわけにはいかないのです。 販売終了までに20食はいきたいな。

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