Sixth Sense

ヒエラルキーぶっ壊して、クリエイティブコントロールして、自分達で舵を取って、商業性と音楽性のスレスレを泳ぐ。

にも関わらず「挑戦者」である。

このバランス感覚がやっぱり面白い。 これこそが日本にはないものだと思う。

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歌唱力やダンススキルが高い。確かにKPOPの魅力の一つ。だけれど、歌やダンスの上手い人は日本にだっている。

確かに日本のアイドルの歌唱力/ダンススキルの平均値と韓国のそれとを比べれば韓国に軍配があがると思う。それは間違いない。だからこそ日本のメディアだってKドルの歌唱力やダンス力、はたまたセクシーさなんかを日本と対比させて語るんだと思う。

平均を出す。そして比べる。 一番フェアなやり方だと思う。
だけどそういった見方をすると三浦大知のような天才が埋もれてしまう。 と同時に個性がぼやける。
Kドルを見てどれも同じに見えるなんて意見が出るのは、個性が無いからではなく、日本メディアの切り取り方がワンパターンだからだと思う。

K-POPアイドル=「歌って、踊れる/スキル重視」 J-POPアイドル=「身近に感じる素人集団/スキル軽視」 間違いじゃないけど、真実でもない/それだけじゃない。 定点カメラからの映像のようなもの。

日本のどこかに設置された定点カメラの映像見て、日本ってこんな国なんだ!なんて思う外人さんもいないだろうと(笑) せいぜいこんな感じなんだなーぐらいでしょう。

Brown Eyed Girlsの第4集「Sixth Sense」 定点カメラを限界までズームダウンしてもその全貌を映し出すことは出来ない作品。 肉眼で見ることをお勧めします(笑)平均値の差じゃなくて、その一歩先が楽しめる。

KPOPは昔よりずっと身近になったけれど、絶対的に縮まらない距離があることを再認識させてくれた。姐さんたちありがとー。

相変わらず芸が細かい(笑)曲の中に色んな仕掛けや遊びがあって思わずニヤり。後半の高音リレーだったり、ラップ前の猫の鳴き声とかたっぷり遊んでくれてます。その仕掛けが映像(MV)の遊びにも繋がっているから、その流れを追うのも楽しい。

例えば1番と2番の間に一瞬映る猫。

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これが2番の終わりの「ミャ~オ」と繋がってる。

前作の瞬発力と中毒性を考えると、商業的に前作を超えるのは難しいのかなぁ~という私的肌感覚。 衝撃度で言えばアブラカタブラに軍配があがると思う。 だけど前作のヒットをひな形にするのではなくて、それを血肉にしたうえで完全に初期化して帰ってくる姐さん達の「在り方」はべらぼうにカッコ良い。 とにかくアルバムを手にとってほしい。1枚の作品としても十分楽しめるし、3集と4集(いや1集から)を聞き比べると姐さん達の守備力のデカさに驚かされると思う。

っていうかあまりの音楽ヲタクっぷりに笑えてしまうと思う。降参って感じw Countdownを初めて聞いた時の感情は言葉にならないもん。最上級の愛情を込めて「笑うしかない」そんな感じ。

個人的に曲の並び順はちょっとどうなんだろーとは思ったかも。 Countdownを一曲目に持ってきてほしかったなぁ。 幕が上がる時の高揚感・・そんな感じの曲だから。(歌詞しらないんで耳のみの印象ですが)4集については聞きこんでからもう少し掘り下げる予定。

んでもって、聞きごたえだけじゃないのが4集の凄さ。「KPOPの魅力」を提示してくれている。

歌唱力やダンススキル、セクシーさ・・・そういった定点からお届けされる違いじゃなく「韓国だからこそこういうアーティストが育ちました」という確かなものがある。

記事冒頭の写真を見たり、曲を聞いてもらうとわかると思うけれど、BEGって「提供された曲をレコーディング」するだけのグループではないわけです。作曲家や作詞家やレコーディングスタッフと同じ土俵にたってる。クリエイティブコントロールが出来たグループ。

作曲家や作詞家は日本でも「先生」とか呼ばれるてるけれど、それは「生み出す人」への尊敬だけではなく歌い手(シンガーソングライターは除く)のヒエラルキーが低いっていう認識があるからだと思う。 そういった裏でのヒエラルキーを壊した人がアイドルからアーティストに変化していく。安室ちゃんなんかはその成功例。

んでもって、BEGもヒエラルキーをぶっ壊したグループ。 アルバムを聞けばすぐにわかる。 ただこの事自体は「韓国だから」っていうことはもちろん無い、日本だろうとどこだろうとあること。重要なのは壊した後のこと。

ヒエラルキーぶっ壊して、クリエイティブコントロールして商業性と音楽性のスレスレを泳ぐアーティストってのは大抵、他者との競争とはある一定の距離を置いていると思う。 もちろん商業音楽をやっている以上CDランキングやダウンロードランキングと無縁でいることは無理でしょう。 でも、その関わり方はデビュー当時のそれとはまったく違うと思うのです。 成功を手にして折り返し地点を過ぎると自分のペースを保つことが優先される。 (戦国時代を戦い抜いて、天下統一したようなものか・・・)

「いつまでも挑戦者でいたい」とか「初心忘るべからず」と口では言ったとしても、それはそういうスタンスで在りたいという精神論であって、実際にそうであることはないわけです。 だって殿堂入りしてるんだもん。

ところがBrown Eyed Girlsは精神論だけではなく実際に「挑戦者」であり「サヴァイヴァー」だと思う。 BEGの音楽をやりながら、同時に挑戦者でもある。このバランス感覚が面白すぎる、

韓国音楽業界の競争のすさまじさって本当に凄すぎる。 ヒエラルキーぶっ壊して、商業的にも成功して、音楽性だって兼ね備えててもお腹いっぱいにさせてくれないんだもん。

やりたいことやっていると精神的に肥えていくもの。その結果、「女王/王様の風格を身に付けた」なんて形容されるようになるんだろう。 だけどこんだけ競争が激しいと、女王も王様も乾いたまんま。

女王の風格を身につけたまま、挑戦者である。 乾いている、危機感がある・・・。たぶん離れられないだろうな、BEGとは。

「Sixth Sense」の韓国での評判はどうなんだろ? 異国に住む私からするとこのバランス感覚はべらぼうにカッコよいのだが・・・・

アトガキ

それにしても、ぼやけた記事だよね(笑) これ↑ そろそろ「手短に!分かり易く!」を身につけたいところ(照)

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