インファナル・アフェア(無間道・Infernal Affairs/2002香港)

インファナル・アフェア(2002香港)

無間道

香港ノワールの代表的作品。監督はアンドリュー・ラウとアラン・マック。

1991年、ストリート育ちの青年ラウは香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボスによって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年ヤンは突然退学となる。彼は、警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられたのだった。やがて2人の青年は、それぞれの組織で台頭していく。そして10年後、警察はヤンから大きな麻薬取引の情報を受け取る。しかし警察の包囲網はラウによってマフィア側に筒抜けとなっていた。検挙も取引も失敗に終わったことで、警察、マフィア双方がスパイの存在に気づいてしまうのだった…。

雑感をば。

仏教観念を題材にしているらしいのだけど、その辺りは無知故語る資格無し。

人間は「善人中毒者」なのかもしれないよね。「善良」であることは、滅多なことでは取り上げられないから無自覚なだけで。

でも、それをある日取りあげられたら、きっとその中毒性に気付くのかも。

「善良であることを取りあげられた人間=ヤン」と「取りあげられそうになっている人間=ラウ」の話し。

ヤンは元々善人。ラウは警察官として生きる中で善良であることに溺れて行く。

善人であることに渇望してる二人。(私的解釈)そのために、危険を冒すのね。だから、この映画を見て「善」って怖いなって思った。

「僕は警官なんだ」と言うヤンに対して、ドクターが「私もよ」とおどけるシーンはまさに世界が反転してる証拠。悲しいシーンよね。

ウォン警視が死んだ時のトニーさんの表情なんて凄くてさっ。あれは、善良である自分を知る人を失った恐怖だよね。もちろん信頼していた警視が死んでしまったというショックもでかいだろうけど。

映画としてはラスト数十分が圧巻です。凄いとしかいえない。ヤンが撃たれる瞬間の不条理感が凄い。あのタイミングは凄いよね。確実に誰かが死ぬだろうっていうフラグは立ってる。あのシーンって死のにおいがプンプンしてるわけです。それなのに、あの瞬間「え?何がおこった?」とついていけなかった。重要人物を容赦なくあっさり殺すスピード感は、見事。

あと、ヤンを殺した男が、無能な男だというところも秀逸だよね。ボスを殺してまで、自分の道を歩もうとしたラウと違って、あの男はラウにボス亡きあとは「あなたについていきます」と言うんだもん。飼われることでしか生きていけないような男がヤンを殺す。その不条理感が凄い。ラウがあの男を殺したのは、もちろん自分の秘密を握られているということもあるだろうけれど、「この程度の男に何故ヤンが殺されなければいけないのか?」という思いもあると思う。

あっ、ヒロイン3人もいたけど、どういう意図はなんだろ?続編見ればわかるのかしら。

凄い映画でした。

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