つないだ手をはなして(OPフェスにて鑑賞)

“ 可愛くて、切なくて、痛くて、とても愛しい”

tsunaidate

現在、新宿テアトルで開催されている「OP PICTURES+」にて「つないだ手をはなして(R15作品)」を鑑賞。

あらすじ

失恋したサークルの先輩・門脇(細川佳央)を一方的に恋い慕う千夏(川上奈々美)は、田舎に引きこもった門脇の元へ押しかける。しかし、千夏の一途な想いとは裏腹に、彼女に対し醒めきった態度で接する門脇。千夏の想いは届くのか?!ある雪の日、二人は再会するが…。先輩に恋焦がれる女性を人気セクシー女優・川上奈々美が好演。毎年コンスタントに作品を撮り続けるベテラン・竹洞哲也監督と脚本の深澤浩子が女心を見事にとらえた、まるで少女漫画のようなピンク映画。

――もっと多くの人に見てほしい、もっと遠くに届いてほしい。

鑑賞後、そんな風に叫びたくなるような作品に出会ったのは数年ぶりのことだと思う。

とにかく大切な作品に出会えた。

……いや、出会ってしまったという方がしっくりくる。

川上奈々美さん演じるヒロインの千夏がとてつもなく可愛い。そしてとてつもなく痛くて、とてつもなく愛しい。こんなにも報われてほしいと願ったヒロインはいないかもしれない。

何が言いたいかと言うと、機会がある方は性別問わず見てほしいのです。

女子代表みたいな語り口で「このピンク映画は女子でも見られるよー!おすすめだよー」

みたいなこと言いたくないひねくれ者の私です。

でも、この作品は女の子も是非みてほしい。というか男子だけのものにしておくのはもったいないし、悔しい。

正直、ピンク映画って女子からは手が届きにくいところにある。男性のためにあるものという印象ってあるよね。事実、そうなんだと思う。

女の子が見るには劇場の環境だって整ってないし、感情置いてきぼりの濡れ場を見せられると、居心地の悪さを感じることってあります。時には寒々しい気持ちにだってなる。男子のファンタジーって女子には全然共感出来なかったりするもんね。逆もしかりなんでしょうが。

ただ「つないだ手をはなして」は物語に寄り添った形で濡れ場があるし、濡れ場でしか描けない女の子の感情がたーっぷり詰まっています。とっても感情が動かされる。

まぁ、どんだけの文字数割いて、おすすめしてるんだという感じですが、ヒリヒリした作品が好きな方にはおすすめです。8月31日9月11日にも上映されるので、是非。

(テアトル新宿だから女子も安全だぞー! 苦笑)

ということで、ここからはネタバレ全開で感想を書いていくので未見の方は注意。

先輩について

舞台挨拶で「先輩」はどうしようもない男みたいに語られていたけど、私はそうは思わなかった。

千夏ちゃんが好きになる男としての説得力もしっかりあって、だからこそこんなにひりひりしたんだと思う。ダメンズにひっかかるバカな女の子の話だったら、そもそもこんなに感情を動かされていない。
報われてほしいと思ったのも、先輩のキャラクターがしっかり造形されているからこそ。

サークル合宿で浮いてしまってる千夏ちゃんを連れだした先輩は周りを見てあげられる男の子だと思ったし、千夏ちゃんが処女だとわかった時にちゃんとブレーキをかけてあげられるのはむしろ紳士的であるとすら思った。
でも女の子に裸になられちゃったら、襲わざるをえないのも男子の本能なわけで、その辺の描写がとっても上手だと思う。
彼女を寝取られた挙句、おばさんの不倫まで知ったら女性不信に陥るのも仕方ないか……と思わせてくれるのも脚本の上手さですよね。

ピュアだからこそおばさんの不倫にも先輩は傷つくのでしょう。擦れてる男の子なら笑い話にしているところ。酒の肴になってます。

散々千夏ちゃんを乱暴に扱った後に、「大丈夫?」って聞いちゃうあたりも、憎めなかったなぁ。憎めないからこそ、より憎々しいんですけどね。

千夏ちゃん

先輩のためならなんでもしてしまう千夏ちゃん。だけど唯一「帰れ」という指示には従いません。この辺りが切なくて、可愛くて、狂おしいほど好きだと思った。

散々酷いことされても笑っているのは、「笑ってた方が人に好かれるよ」と先輩に言ってもらったからだもんね。彼女の切実さと歪さがとっても痛いの。

「別に」を「ベツ煮」と間違えるおとぼけシーンで笑わせてくれるからこそ、先輩のためになんでもしたいと言って脱ぎだすシーンの切実さが胸を打つ。緩急に心かき乱される。

どんな濡れ場よりも、あのたどたどしいボタンの恥ずかし方が甘美だと思った。うわぁぁぁぁぁーって言葉にならない感情になりました。

――そして先輩との最後の濡れ場。

畳に手をついていたから、千夏ちゃんの手の平が真っ赤に染まっていた。意図してつくったシーンではないと思うけど、あの真っ赤な手の平がとても心に突き刺さった。

心が痛くて、痛くて、叫びそうになりました。

演じる川上さんの表情も素晴らしくて、濡れ場でしか表現できない感情もあるんだと改めて教えて頂きました。見事としか言えない。

川上さんの作品は初見だったのですが、これからも追っていきたいなと思います。大好きな女優さんになりました。

舞台挨拶

一緒にいる時には通じ合えない男女(再開したら通じているでしたっけ?)を描いてほしいとのオファーで今作を執筆したと仰っていた深澤浩子さん。

監督の意図を補足して説明してくださる姿に、作品への愛情を感じました。

ラストシーンについて「あれは千夏のやさしさ」と仰っていたのがとても沁みた。私もあれは千夏のやさしさだと思っていたから、答え合わせが出来てうれしい。

先輩が背負ってしまった罪悪感を軽くしてあげるための行動なんだよね。そして、そんなやさしさをわかってあげられる先輩も嫌いにはなれないなぁと思った。

悪いやつが出て来ないからこそ、より悲しくてひりひりするってこともある。その絶妙なラインを描いてくれたこの作品は、ほんと大切な一本になった。

そんな高ぶる気持ちを伝えたくて、舞台挨拶後のサイン会では「本が良すぎました!本が良すぎました」と深澤さんに伝えたのだけど、前のめりすぎたかなと、反省してます(笑)

もうすこし時間があれば、何故先輩とキスシーンはなかったのに、便利屋とはキスさせたのか?(しかもヒロインから)だったり、色々聞いてみたかったな。

とはいえ何もかも答え合わせするのは色気がないので、自分であれこれ想像してみたいと思います。

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皆様からサインを頂けました。

川上さんと美泉さんとはお話する時間があったのも、嬉しい。対面するイベントって、実はすごく苦手で、たいていそそくさと帰るんですが、素晴らしかったことを伝えたくて参加してみました。

お二人とも綺麗で可愛くて、生まれて来てくれでありがとう!の心境。

そして、本当に素晴らしい作品に出会えて感謝。これからも素敵な作品に出会うため、出来る限りアンテナを張っておきたいなと思いました。

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  1. posted by 深澤浩子

    ご来場、ありがとうございました。
    丁寧に汲み取ってくださり、とても嬉しく思います。
    本当にありがとうございました。

    • >深澤浩子さま
      まさかご本人様からコメント頂けるなんて感無量です。
      こんなに素敵な作品に出会えて幸せです。
      こちらこそありがとうございました。

      これからも深澤さんの作品を追いかけさせて頂きます!

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