台北カフェストーリー(第三十六個故事)

ここに2冊の本のデータがある。 ちなみにどちらも私の本棚にあるもの。

価格1470円
単行本: 31ページ
商品の寸法: 26 x 24.6 x 1.2 cm


価格3150円
単行本: 1728ページ
商品の寸法: 19.4 x 14.2 x 4 cm

値段も異なれば、ページ数は1600ページ以上違う。 仮にこのデータのみで本を交換するとすれば、①を②に交換した方が得だと大抵の人は判断する。

では、題名を明かすとどうなるか?

①「100万回生きたねこ」 ②「新明解国語辞典」
こうなるとどちらが良いのかは人それぞれになる。

そこにストーリーを付け足すと?
・Aさんは子供の頃に何度もお母さんに「100万回生きたねこ」を読んでもらった。
・Bさんは浪人生活を経て大学生になった、 受験生時代は新明解国語辞典にお世話になった。
こうなるとそれぞれの思い入れによって異なってくる。

さらに価値観が変わるとどうなるか?
・Aさんは絵本作家を志していたが、日本語研究に興味が出てきたため日本語博士になろうと思う。
・Bさんは大学で児童文学の講義に感銘を受け、絵本作家を志すようになった。

2冊の本があって、仮にそれを交換するときに「タイトル」「所有者の思い入れ」「所有者の価値観の変化」によってその本が本来もつ価値以外のところで交渉が進む。

価値ではなく価値観での判断。 資本主義の社会を生きていても、そういう「思い入れ」とか「変化」は人間とは切り離せないよね・・・・「台北カフェストーリー」はたぶんそういう映画。ダラダラとつづってきたけど(悪い癖)

並んでいるものは「価値」で判断されるけれど、一度手にとったものは「価値観」で判断されるものになるんじゃないかなー。こういった認識を改めて確認させてくれた映画だったと思う。だから手に取ること、触れることは大事だなーと。

ストーリー

OLからカフェのオーナーに転身したドゥアルと妹のチャンアルが念願のカフェを台北でオープンする。ドゥアル・カフェは、コーヒーのアロマ、手製のデザートの香りであふれている。しかし、やっと開店したものの、お客が入らない。そこで妹チャンアルが、カフェで物々交換を始めるアイデアを思いつく。様々な物が持ち込まれ、そして次のオーナーのもとへと去っていく。やがて物々交換はドゥアル・カフェの一番の魅力となっていく。そして物々交換がきっかけで出会った人たちが、心を通わせていく。
ある日、一人の男性がお店にやって来る。彼は世界35都市で集めたという35個の石鹸を持って来て、何か特別なものと交換したいという。以後、カフェに来る度に語られるそれらの石鹸のエキゾチックな物語にドゥアルの心は魅せられていく。そして、物々交換をきっかけに、姉妹の価値観が変わっていく。本当に大切なものは?台北を舞台に展開するオシャレ感覚溢れるカフェ・ストーリー。

オフィシャルHPから引用

この手の台湾映画は本当に感想を書くのが難しい。一頁台北を見たときもどう自分の中で消化すればよいのかわからなかった(笑)根底に流れているものはものすごく共感できる。雰囲気もすばらしい。ただし、起承転結がぼやけていて、余白が多すぎる。 これは短編小説を読んだときと同じような感覚。台北カフェストーリーは短編小説に流れる独特の空気間を映画にしたような印象だった。

この空気間はあえてそう作っているんだと思う。狙ってやらなければこうはならないはず。 スティーブンキングの短編小説「死体」が、長編映画スタンドバイミーになっていることを考えると、あくまでも作り手の感覚によるんじゃないかなーと。

主人公のドゥアルを演じるルンメイちゃんは、こういったテイストと本当に良く合う。地に足が着いていそうに見えて、ほんの1、2ミリ床から浮いているような非現実感。これは天性のものだと思う。妹のチャンアルを演じるチェンシーさんも、いい味出していた。

ただ、やっぱりもう少しストーリーを掘り下げてほしいなぁと思った。35個の話を通じて、ドゥアルと男性客が心通じていく過程とそれに続く36個目のお話があまりにもふわふわと描かれすぎていて、もう少し深い輪郭がほしいと思った。

ただひたすら淡々とした時間の描写が続いたので、そこで一瞬でも波を立てればと・・・。根底に流れる温度が好きだからこそ、もうちょっとがほしかったなぁ。

余談だけれど、私にとって台湾は若干ファンタジーなんだと思う。現実と1、2ミリ違うような感覚。台湾の町並みを見るだけで心が躍ってしまう。 恋焦がれてますよ台湾に。

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  1. posted by ホイメイ

    カフェが舞台の作品は、大好きなので、私も観てみたいです^^
    なんていうか、カフェって、その人の「大切なもの。心地よいもの。大好きなもの」がいっぱい詰まっていて、それが全て、みたいな感じがあって、
    そういうところがとても興味深いです。

    で、アオタさんの最後の文章に感銘!
    以前の記事でも「人肌」と表現していたけど、台湾の作品って、ほんとにそう!!
    若干ファンタジーの台湾が作る作品は、一種の魔法なのではないかと、よく思います♥

    で、「痞子英雄」追い詰められる西英・・・・については、言いたい事が山ほどあってまだまとまらないので、もう少ししたらまたコメさせてください(重症。西英とチュンニンを愛し過ぎwwww)。

  2. posted by アオタ

    >ホイメイさんへ

    私もカフェで流れる時間やそこに詰め込まれているものが大好きです。

    友人がカフェの壁を借りて個展を開いたのですが、もう最高すぎて居座り続けてしまいました(汗)
    台湾とカフェの融合というだけで実は見る前からお腹がいっぱいだったりして(笑)

    >若干ファンタジーの台湾が作る作品は、一種の魔法なのではないかと、よく思います♥

    本当にそうなんですよねー。魔法が全然解けません。痞子英雄についても語っても語っても語りきらないので、困ってますwww 

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