花様 ~たゆたう想い~ ネタバレ含む

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花様 ~たゆたう想い~/2012年/台湾映画

今から300年前。中国外洋に浮かぶ流嶼島に、双子の姉妹・小雪(=シャオシュエ)と小霜(=シャオシュアン)が漂着する。妓楼“花漾楼(=かようろう)”の女主人に拾われた2人は、ある秘密を胸の奥底に押し隠して、芸妓としての道を歩む。しかし花漾楼にやって来る男たちとの出会いを経て、彼女たちの愛と運命は、まるで海面に浮かぶ花の様にたゆたい始めるのだった……。

ネタバレ含みます 注意


本国での評価がイマイチ振るわなかった花様。主要キャラが8人。しかも、それぞれをしっかり描こうとすれば、必然的に尺も必要になる。よって、ブラッシュアップ出来ていない印象は否めない。

「長い!」「単調!」という意見が出るのも仕方ないかもしれない。連ドラで描くボリュームを映画にしてしまったようなものだから。

オムニバス物ならまだしも、キャラクターをまんべんなく描くことは、作品の濃度を薄めかねないと思う。そういう意味では、かゆいところに手が届かない「おしい」映画の仕上がりと言える。脇役に尺を割くならば、小霜と刀疤のパートをもっともっと見せてほしかった。

個人的には芙蓉と二少の掘り下げは要らなかったと思う。もちろん、小霜を買いたいと思う男の出現は非常に重要だけれど、だからといって、彼のバックボーンやその妻まで描く必要はない。

海親分が二少にお金を要求する流れも、はっきりいってまったくわからなかった。(帰りの電車で、恐らくこういうことなのではないかな?と想像は出来たけれど、あのやりとりを視聴中に噛み砕くのは難しいと思う)

もちろん連ドラで描くならば、芙蓉と海親分の絡みなどは極上に仕上がるでしょう。だけれどあの尺では唐突な展開だと言わざるを得ない。もちろん描きたいもの、そしてその根底に流れるものは十分理解は出来るのだけれど。

裾野を広げ過ぎて、作品の強いメッセージ性が損なわれたと思う。辛口だけれど、意味の分かりづらい作品に仕上がってしまった印象。この手の映画で8人の主要キャラはやはり多い。

ということで、かなり辛口で攻めてみましたが……

「刺さったか?刺さらなかったか?」で言えば、私はこの作品物凄く刺さりました。つまり大好きなんですよ(苦笑)しゃーない、私はこういうヒロイン大好きだからさっ。

アイビーちゃん演じる小霜。はっきり言ってもっともっと掘り下げるべきだと思います。だけれど、私は小霜に感情移入しまくりました。

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流刑の地。窒息しそうな世界でただ一人姉のために戦う少女小霜。看板芸妓の姉の影に徹し、世界を睨みつけている。自分はきっと天国ではなく地獄に行くだろう。そんなことを胸に秘めて。

純粋で無防備な姉を護るために、自分は残酷で、狡猾でなければならない。 彼女の世界は姉と自分とで完結している。だからこそ、なんとしても姉を護らなければならない。

姉が病にかかってから、小霜の身体にも同じような症状が出始める。双子は共鳴するもの。どちらか一方に起こったことは今までも、片方に影響してきた。

姉の病が見つかれば、姉は殺されてしまう。そんな状況の中、小霜はなんとか姉を救おうと奮闘する。

 

物語冒頭。姉の病が見つかる。小霜は姉の秘密を知った女を何のためらいもなく殺す。

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だけれど、特筆すべきなのは、小霜が女の死後に供養することです。小霜は自分の残酷さや、狡猾さに、慣れていない少女なのかもしれない。

自分の罪の重さをわかっている少女なのです。

それは双子は共鳴し合うというストーリーで十分に語られている。純粋で無防備な小雪は、小霜の本質そのものなのだから。

ただ姉を護りたい一心なのです。

酒を強要された姉を護るため、その酒を飲み干すシーンでも、その心情がうかがえる。

 

小霜は他人に残酷なだけでなく、自分にも残酷です。刀疤を愛しながらも、姉のために男に買われ、自分を犠牲にする。

そして、今後自分の取り分(お金)は一切要らないと主人を説得し、自分だけが島に残り、姉を島から逃がすのです。

しかし、ある日彼女は知ってしまう……

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病に冒されていたのは、姉ではなく自分だったことを……。共鳴していたのは自分ではなく、姉だったのです。

そしてそれを知った小霜は、あれだけ聞きたかった刀疤からの「逃げよう」という言葉を・・・・

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突き放してしまう。

「私は看板芸子よ。何様のつもり?」と言って。

だけれど、それは自分の病のためなのです。彼に感染させないために、彼女は突き放すのです。心から願っていた刀疤との生活なのに……

(病名は訳されていませんでした。300年前の世の中では、誤解と無知識によって、このように扱われていたということだと思います)

表面では残酷で狡猾だけれど、小霜は無償の愛を捧げる自己犠牲の人だと思います。誰よりも愛に飢えてるし、島から逃げたいと思っている。

だけれど、そんな自分の望みや、幸福な想像に蓋をして、自分には心など無いように振る舞うのです。痛みなど感じない少女の振りをするのです。

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本当は、誰かを愛したいはずなのに・・・・・。否、刀疤を愛しているのに……。

だけれど、この作品がおしいのは、今私がダラダラ語ってきたことを、あんまり掘り下げてくれていないことです。

ただひたすら小霜と刀疤を掘り下げてくれれば良いのに、全然違うところに尺を使っている。そしてラストのあの感じね……(泣)

あれでは結局何が言いたいのか良く分からないと言われても仕方ないです。私もわからなかったし。

個人的には「窒息しそうな流刑の地で一人の愛に飢えた少女が、残酷な戦いに身を投じているお話」と、追加妄想込みこみで解釈してます(笑)

そして、愛を粗末に扱っていた少女が最後に愛に救われる話だったら、もう少し観客の評価を得られたんじゃないかなーとか思います。刀疤なら、小霜の全てを受け入れてくれたんじゃないかな?とか期待してる。

……その一方で導演はシビアだなーとも思うのでその筋は無いかなーとも思う。だってジョセフ@文秀の描かれ方ひどいじゃん(泣) しょせん人間は自分が大切ですよというメッセージなのかもしれませんが、最後の最後でそういうメッセージ語られるのは、観客としては辛いですよね。 文秀も後悔しているのでしょうけど……。

陳意涵について

アイビーちゃんと私の関係はとっても複雑です(苦笑)大好きなのに、未だに「ファンです!」と言えない関係。Apinkより付き合いも長いし、記事幅割いているのに、曖昧な関係を続けてます。

たぶんそれは、アイビーちゃんがチューニングしてきた物が、時々私には心地よく聞こえないことがあるからだと思います。

例えばハッピーカラーズのアイビーちゃんなんかは、はっきり言って、つまらないなーと思いました。でもそれでも好きだなーと思えるのは、ハピカラにしたって「瞬きの回数」や「箸の持ち方」まで拘って演じている彼女の誠実さに好感がもてるからです。だからもっと好きになりたいなーとは思っているのだけれど、こればっかりは心の赴くままなので仕方ないです。

苦手なアイビーちゃんがいる一方で、超絶に惚れぬいてしまうアイビーちゃんもいます。それが陳琳だったり、詩詩ちゃんだったり、そして今作の小霜です。

可愛い子ちゃんを演じている時のアイビーちゃんは、全然刺さらないのだけれど乾いている子を演じている時のアイビーちゃんは本当に素晴らしいと思います。(別に可愛い子ちゃんが嫌いなわけではないのです。実際今パフたんにハマってる最中だしw)

人を信用しない、愛なんてくだらない、そんなことを口にしながら、誰よりも愛に飢えてる/期待している女の子を演じさせた時のアイビーさんは素晴らしいです。白でも黒でもなく、灰色を演じさせたら、とっても魅力的な人です。

灰色の陳意涵が好きな人は「花様」はマストだと思います。

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