六號出口(ウエスト・ゲートNo.6)

エディ&イーサンに、ヒロインが放羊的星星のユ・ハナちゃんということで期待に胸膨らませて見た映画「六號出口」の話をば。

2007年 台湾

出演は彭于晏(エディ・ポン) 阮經天(イーサン・ルアン) 劉荷娜(ユ・ハナ) 辰伶 他

「若者の苦悩を題材にした脚本をベースにして写真集を作ろう」という企画ならば文句無しに素晴らしい作品になったと思う。
ただし、映画としてはつまらなかった。

物語は西門の町でハチャメチャやって過ごす若者が主軸になっている。

エディ演じる西門伝説のジャンパー「ダーイン」とイーサン演じる天才ハッカー「ヴェンス」は「人間の限界」を確かめるため身体を張って無茶なことばかりしている。
そんな彼らのバカ騒ぎを楽しげに見ているのはダーインに密かに思いを寄せるビビアンとその親友フィオナ。
彼女達は親友でありながら親の抑圧で子供の頃からなにかと競争させられ育ってきた。

友達でありながら競争することに疲れたビビアンはピアノの発表会をぶち壊しにし家出。しかし勇気の無かったフィオナは親に反抗することが出来ずビビアンとは疎遠に。
ようやくビビアンと再開しダーインやヴェンスとも遊ぶようになるフィオナ。競争から解放されようやく友達に戻れた二人だったが、ダーインとフィオナのキス現場を偶然ビビアンが目撃してしまったことで再び亀裂が入ってしまう。

援助交際だけはしないと心に決めていたがついに手を出すビビアン。そしてその夜彼女は行方不明になる。

彼女を探し出そうとする3人。しかしそこには驚くべき秘密が隠されていた・・・

というな感じでしょうか?

親の抑圧、援助交際、自分の体を傷つけるゲーム。

たださぁ・・・若者の苦悩ってそんな物の羅列で表現できるもんなのかね?そもそも生死の狭間で揺れている若者をオサレに撮ろうという時点でまったく共感出来なかった。

ダーインもヴェンスもゲームをする前は震えているけれど悲壮感は皆無。クレイジーで命を顧みない若者を描きたいということなのでしょうかね・・・。

エディもイーサンも共感しながら演じるのは難しかったんじゃないかなぁ。何のために身体を傷つけているのかがわからなければ、いくらなんでも・・・・。その理由があれば、二人ならもっと魅力的に演じられたんだろうけれど・・・・・。

一番不快に感じたのは二人がタイヤに入ってエスカレーターを転げるシーン。見ていたビビアンが笑っていたことで「あーこの感性は無理」と思ってしまった(泣)

確かに自分の命なんてどうでもいいと思うことってある。ビビアンも自分を大切に出来ない子なのでしょう。だけど、どんなに心が荒んでささくれてたって「好きな人」が命がけのゲームしてたら笑ってられないんじゃないかな。

自分が血を流すのはなんとも思わないけれど、大事な誰かが血を流すのは黙ってられない。そういうのってあると思う。

台湾の若者がどういう性質なのかは知らないけれど、「自分に価値がなくなっちゃった時」に「他人に価値を見出す」ことで生にしがみつくって自然な流れな気がする。

ビビアンがダーインのゲームを笑って見ていたことがどうも魚の骨のように引っかかって仕方ない。
ダーインが原因で頑なに拒んできた援助交際にも手を出す程だというのに。

フィオナを演じるハナちゃんも全編通してパッとしなかったな。残念すぎ。
ビビアンを裏切ってしまったという恐怖と同時に、彼女だけが先に自由になった嫉妬。だからこそダーインを奪ってやる・・・・ぐらいのことがあったら面白かったのに(笑)
「恐怖」も「嫉妬」も「奪ってやる」も描かれていない上に、彼女が最後に何故ああいう風な選択をしたのかがまったくもって理解不能。

トリック的には岩井俊二の「リリイ・シュシュのすべて」と共通する部分あり。=ビビアンとフィオナの2重関係の描写

だけどこちらは全然「痛み」が伝わってこない。

なんか凄い辛口になってしまった。

恐らくこれはガールズムービー。だけどボーイズムービーの体だからチグハグなんだと思う。

「痛み」をスタイリッシュになんか描けるはずないんだよ。

URL :
TRACKBACK URL :