◇1997年。日本ではキンキキッズの硝子の少年が大ヒットしていた年。
当時管理人アオタは小学生。沖縄アクターズスクール出身の知念里奈にハマり抜き、初めてファンクラブに加入した頃でもあります。
◇韓国の1997年はどんな年か? アジア通貨危機。ウォンが大暴落した年です。「占領軍」と形容されるIMFの支援。そのあたりの背景は私ごときが語るまでもないこと・・・・
韓国ドラマ「応答せよ1997」の舞台は釜山にある、とある高校。国が揺らぐその中で、主人公達はアイドルを熱狂的におっかけ、ファンフィクを書き、エロビデオを回し見し、大学受験に悩み、夢を膨らませ、恋をしている。
どんなにシリアスな状況の中にあっても、何かに熱狂し、バカ騒ぎをし、誰かを愛してしまう。
ポップ&キュートにデコレートされた作品の中にある、愛しくて強いメッセージは、なんだか私にとっても突き刺さります。
脚本家のキム・ラムジュさんは主人公ソン・シウォンのモデルその人だとか。 トニーオッパの愛車ポカリが登場するシーンに立ち会ったキムさんは、彼の車に近づくことすら出来なかったそう。97年を生きた氏が、作品のメッセージを全て体現しているのです。
現在進行形で熱狂している10代の若者だけではなく、何かに熱狂していたかつての10代たちへ捧げられた、コミカルで時に泣けるお話でございます。
ということで、前置きが長くなりましたが、そういう下敷きを引いて、私はこのドラマに没頭しております、ということをまず言ってみたかったということで(笑)
1話から8話までのかんそー
いやー、このドラマ、視聴者にまるで負担が無いところが非常に良いですわw 基本的に軽く見られるのが良い。
だって、基本的にこういうドラマなんだもん(苦笑)
主人公ソン・シウォンがあまりにも私の青春時代とダブるので、感情移入はしまくっているのですが、だからといって身体に悪いハマり方をしないのが楽です。
イタキスだとか、宮だとか、花より男子に通じる遺伝子を、ガッツリ受け継いだ王道のラブコメです。安心の品質!w
とはいえ冒頭に書いたように、根底に流れるメッセージはかなり強いものがありますので、薄っぺらくならず濃厚な味わいもある。 素敵なドラマです。
1話から7話までに関しては主人公の恋愛パートはほとんど進展がありませんw 高校生のシャカリキな生活と、時代の空気感、そして、それぞれの人物造型に尺を割いている段階。
主人公/ヒロイン ソン・シウォンについて
◇シウォン基本データ
韓国の伝説的アイドルグループアH・O・T(SMエンタ)の熱狂的おっかけ。推しメンはトニー・アン(本名アン・スンホ)。あだ名はアンスン夫人。H・O・Tのファン界隈では有名なファンフィク作家。作風はメンバー同士の恋愛物。成績はほぼ最下位。授業をほぼ放棄し、H・O・Tに人生を捧げる少女。
このドラマの味噌がシウォンのキャラ設定にあるように感じてます。恋愛パートにおける「男子女子のタイムラグ」というテーマもシウォンの設定あってのもの。
「成長する上での理。少年は男になり、少女は女になる。しかし男になった少年と、まだ女になっていない少女・・・。成長の速度が違う時、問題が起こる。」
10代の成長速度を描く場合、大抵は女の子の成長速度が速くて、男の子がそれについていけないというのが、テンプレのような気がします。そもそも女の子の方が精神的成長早いしね。(もちろんケースバイケースではありますが)
そしてタイムラグを描く場合は「成長速度が速い人と遅い人」を対比させるのが常です。 にも関わらずこのドラマの登場人物達は誰一人として「速い」人はいません(笑)むしろ皆遅い。速い人と遅い人の話ではなくて・・・
自分の恋愛を丸無視して、オッパ達の妄想小説を執筆してらっしゃる女子高生のソン・シウォンさん。
もう一人の主人公ユン・ユンジェ君の成長が早いかと言えば決してそんなことはありません。むしろ彼も割と遅い方だと思います。結構お子ちゃまだものね。
だからこのドラマの味噌というのは、あまりにも遅すぎてしまったシウォンちゃんが、ようやく人並みの女の子に追いついた時に「さぁ、何が起こるでしょう?」っていうところなのですよ。(というアオタの萌え目線)
もうさ・・・この構図がワタクシはたまらないのでありんすよ。
自らの恋愛事情とか、それこそ周りの恋愛事情とか一切NO興味でただひたすらヲタ街道を突っ走っている少女シウォンちゃんが、ある日「気づく」・・・否「気づいてしまう」、自らの罪に。(あぁ、フライングしちまうよ)
そういったシウォンの変化を追うのが最高に楽しいドラマです。もう最高!×100。
あとね、これもフライングになるけれど、このドラマの凄さというのは「あまりにも遅い人だったソン・シウォンさん」が数年の時を経て「最速のソン・シウォンさん」になって戻って来るところなんですよ(くyぅぅぅx萌え死ぬ)
ということで、シウォンちゃんは久々に心をわしづかみにしてくれる、私好みのヒロインであります。
そしてそんなシウォンを演じるのがApinkのチョン・ウンジです。このドラマの演技が認められて、某所で女優賞を受賞したそうです。
「天才」とか「神童」とも形容されているとか。
タイムリーにこんな記事があったのでご紹介しておきます。→芸能番組『クングムタ』でアイドル出身で名優に成長した特集で、1位missAスジ、2位A Pinkウンジ、3位JYJユチョン
スジとユチョンの間にウンジがいるっていうのも、アイドル界隈の力関係から考えると非常に不思議な感じではありますが、女優ウンジがある程度認められていることは確かなようです。
ただ、アオタはこの作品しか見ておりませんので、彼女の女優としての才能は測りかねております。
これが初演技ということを考えると「凄すぎる」としか言えませんし、相当ナチュラルな演技をかましてくれていますが、ネイティブな釜山弁話者であるウンジが作風とマッチしたという点も見逃せません。
つまり、ウンジがこの作品で見せた演技が、どんな作品にも通じるのかと言われれば、答えはNOだと思います。ウンジが凄いというよりも、役と作品に恵まれたことが大きいかなと。
ただなー・・・やっぱり凄いよね。 「当り役」という奇跡を得ることなく、役者人生を終える人が沢山いることを考えれば(それは成功した俳優さんだとしても)初めての演技でそれを手にしてしまったのは凄い。そして大変だと思う。シウォンを超えるのは相当大変ですよ。
ウンジの演技は結構レベルの高いことをやっているなーという私的印象です。でもそれは何の裏付けもなく、ただ出来てしまっているんだと思う。
彼女の演技って、「リアルタイム更新型」なんですよね。(私的印象) プランでガチガチに固めるよりも、相手の反応だったり、自分の心の動きによってその場で表現していくタイプ。 本人も「演技を練習することが逆に邪魔になる」という趣旨の発言(この発言をしちゃうあたりがやっぱりウンジすげーと思うけどね)をしているので、あまりプランを立てずにやる方が向いているのだと思います。
だから彼女は「相手の言葉や行動を待っている」時の表現が抜群に上手いです。プランを立てて演じる人には決して出来ない表現をしてる。だから「そこに生きている」ような錯覚を与えてくれます。
ただ言いかえるのならば、行きあたりばったりでもあるので、ドラマチックな演技が要求されるシリアスな物では、通じない場面も出てくるかもしれませんね。
でもさっ、人生は行きあたりばったりであって・・・そういう演技が既に出来てしまってるのは彼女の最大の強みではあると思いますよ。(褒め)だから頑張ってほしいなー。 でもウンジの場合はシンガーとしても才能があるので、どちらの才能を優先するかも大変そう・・・。
ホント凄い恵まれまくっている子です。
1話から7話までで一番好きなシーン
は、実はこちらのメンズシーン。
成績の良しあしによって席の順番を決めようとする学校側。それに反対し教師と揉めるギラついた青年ユン・ユンジェ。
それを、冷静に見つめる優等生のジュニ。
教室で、成績2位に与えられた先頭の席に座り1位の到着を待つジュニ。
そしてそこに、当たり前のように座る・・・
先ほど教師と揉めていた青年。
・・・・・この流れはしびれたー。秀逸すぎる。
成績の良しあしで順位を決めるなんて人権は無いのか?と教師に突っかかった青年が、実は自分より順位が上、学年1位の優等生だったと・・・・。
この恋の落ち方は説得力十分だなー。
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