久々にみたので、軽く雑文をば。
ジョゼと虎と魚たち
監督:犬童一心 出演:妻夫木聡、池脇千鶴
恒夫(妻夫木聡)は、雀荘でアルバイトをしている大学生。最近、卓上で話題になっているのは近所に出没する婆さんのこと。婆さんはいつも乳母車を押して歩いている。
恒夫はある日、偶然乳母車に乗っているその少女に会った。それが、ジョゼ(池脇千鶴)との出逢いだった。
小説「桐島部活やめるってよ」に、この映画を愛する少年が登場する。
10代の少年、少女が「ジョゼ虎」を語る。これだけで、何かが腑に落ちる。意味わかんないね(苦笑)でも何かが腑に落ちるんだよ。
教室の片隅でジョゼ虎を語る。その行為は10代の少年少女にとってはなんだかとっても特別なことだと思うのです。
そもそも好きな映画やドラマを語るというのはとっても特別な行為だもん。私もクラスで友達と話した記憶は鮮明に覚えているから。
上手いこと形容出来ないのだけど、この映画はそういう映画だと思う。 「10代」とか「クラス」なんて言葉を使ったけど、もちろん全年代にとって、愛しくて忘れられない映画になりえる。度数が高い。酔える。
当然のことながら、やっぱり私にとって、ジョゼは刺さるのです。
自己中心的で、我がままで、要求の多い彼女。車いすを買おうという恒夫に「おぶる」ことを求め続ける。だけど一方で自分の人生を背負わせる気はない。「結婚?あるわけないがな」とあっさり言ってのける。
いつか恒夫は自分から離れることをわかっている。 「壊れ物には壊れ物の分がある」というおばぁの教えは、彼女の根っこにあるんだろうな。
うんざりするほど求めまくるジョゼ。だけど、一番の願いは求めない。その潔さが切ないのです。
そういえば去年犬童監督の話を聞きに行ったのだけど、制作の段階で「ハッピーエンドにしろ!」という要求は沢山あったらしい。あまりにも後味が悪いと。だから、ハッピーエンドバージョンも考えたそう。
だけど監督、そして脚本家の渡辺さん共々、この終わり方しか考えられないと、相当抵抗したらしいです。結果予定通りのエンディングになったみたいだけど。
恋する男女の大半は別れる。だから別れさせたと監督は言ってました。 確かに、初恋の人と添い遂げる人なんて、少数派だもんね。
添い遂げることが全てじゃないのかもしれないよね。
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