鷲宮物語~商工会の挑戦~

アニメらきすたで有名になった「鷲宮町」が、町おこしの一環として制作した「鷲宮物語」。わかりやすく言えば所謂ご当地ムービーというやつ。当然全国ロードショーでもなければ、DVDもTUTAYAに並んでいない。DVDは大晦日に神社で販売されたりした。

正直なところ意地悪な書き口で書こうとすれば、「あーだ、こーだ」言えるのだろうと思う。 欠点を挙げて、辛口モードのおすぎのマネをしてみるのも一つの手かも。んでもって、「映画に目が肥えてますYO!」アピールをするのも自己満足にはなる(笑)・・・ツッコミどころを突っ込むとそれらしくまとまった記事に仕上がってしまったりするものだから、ブログって。

ところが結論から述べると・・・私はお茶屋さんにお土産と一緒に陳列されていたこの映画が、誰になんと言われようが大好きなのです。それこそTUTAYAに並んでいるようなメジャーパンダ映画(俳優の知名度押しの映画)の1億万倍は好きだと思う。たとえぶっ飛んだ描写が多くても、血が通ってるんだもんこの映画。 やっぱり私はひと肌映画に弱い人種なのです。

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ネタバレ注意。

あらすじ

東京の大学に通う宮田隆は高校の先輩である松本に強引に頼まれ、故郷鷲宮町のPR映画を撮ることになる。映画撮影のため久々に鷲宮町に帰って来た隆だったが、すっかり「萌えの聖地」と化した故郷を目の当たりにし唖然とする。

映画制作に元々乗り気でなかった隆は、こっそり東京に帰ろうとするが、幼馴染であり鷲宮神社の娘である桜子に見つかったため渋々映画制作を続けることに。

東京から友人である喜久、あやめ、福成の3人を呼び寄せ企画案を練る隆。しかし誰の案を採用するかで喧嘩になり3人は隆の家を飛び出してしまう。 自暴自棄になった隆は桜子とも言い合いになり孤立無援に・・・・

ところが東京に帰ったはずの3人が、機材を持って隆の元に戻ってくる。彼ら3人が戻って来た理由とは?・・・そして町民を巻き込み、SF映画「ワシミン -逆襲の聖地-」の制作がはじまるのだった・・・。

骨組みとしてはこんな感じでしょうか。

根底に流れる「何か」が福岡アジア映画祭で見た「一頁台北」に通じるものがあるような気がした。

「一頁台北」—日常を捨てて台北(台湾)からパリに行こうとする青年が台北での不思議な一夜を通し、自分が生まれ育った台北の魅力に気付くというお話。

本編の主役である隆も、町民や鷲宮にやってくる観光客(ヲタの皆さま)への取材を通し鷲宮の魅力に気付いていく。

その証拠に物語冒頭で故郷に帰って来た時には「相変わらず何もないな」なんてやる気無さげに漏らす隆が、最期には祭りの神輿を担ぐために東京から帰ってきたりしている。

突っ込みどころ満載だし、ぶっ飛んだ描写もあるけれど、こうやって骨組みをなぞると「ジーン」と来るものがある。 町民の皆さまが照れくさそうに出演する姿や、若手キャストのくすぐったい演技が妙に心地よい。いやいやマジで最高っす。

別に、増田有華ちゃんが出演しているからって褒めてるわけではありませんよ(笑) ホントに好きなテイストの映画なのです。

大好きな有華ちゃんは、隆の幼馴染であり神社の娘である桜子役にて出演。 本編の内容とはなんら関係ないけど、有華ちゃんは「ファンになって良かった!」と作品都度に思わせてくれる本当に素敵な子だよね。鷲宮物語でもその魅力を/というより、その糊しろの多さを十分堪能いたしました。

映像作品的演技っていうより、舞台的なニュアンスで演技してるな~と思う部分はちょいちょいあったし(声の出し方とか) 普段有華ちゃん関西弁だから、標準語にほんのちょびっと力みが見える部分があったような気がしたけど(怒ってるシーンとか)そんな細かいことはぶっちゃけどうでもよくて(笑) 今後の可能性の大きさと、しっかり演技プランが頭の中にあるんだろうなと思わせてくれるセンスの良さに大満足なのです。

与えられた仕事をこなすのではなくて、「こういう風に演じよう」とか「こういう身ぶりをしてみよう」とかってのがちゃんと伝わってくるもん。

桜子のキャラクターも非常に可愛い!やる気の無い隆の背中を強引に押したり、自暴自棄になる隆にお説教をしたりする強気な女の子だけど、隆のいないところでは「隆、結構良いセンス持ってるんですよ!小さい頃からお話を作るのが上手で・・・」なんて褒めてたりする。

隆のプレゼンが上手く行った時の表情変化も秀逸。自分のことのように喜ぶ桜子が本当に可愛いのです♥

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それから、深夜に皆が寝静まった後、編集を続ける隆に寄り添う桜子がホントにたまらなくカワユイ。

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有華ちゃんの演技も凄く自然なんだよな~。

有華ちゃんと一緒に演技をした鷲宮商工会の方が「増田さんらの演技が凄く自然でカメラが回ってるのを忘れてしまった。プロの空気感って凄いと思った」なんて驚いた表情で語ってくれてたりすると、有華ちゃん推しとしては頬が緩んでしまう(照)

映画本編では詳細は描かれてないけれど、「東京から帰ってくる隆を迎える」のも「東京に帰っていく隆を見送る」のも桜子であるということと、彼女が町の象徴である鷲宮神社の娘であるという設定から「離れていく」ものと「留まらなければいけないもの」との対比みたいなものを感じて胸がキュンとした。東京に帰る隆の背中を見送る桜子@有華ちゃんの表情がなんだかとっても切ないんだよね・・・

神社の娘で巫女さんっていうだけの設定だけど、もしかしたら跡取り娘かもしれない。 そういう勝手な妄想をしながら本編を見ると、鷲宮町に対してやる気のない態度を見せる冒頭部の隆に対して、苛立ちを見せる桜子の心情もなんだか違った見方が出来て面白い。 変わり映えしない日々を送る人間からすれば、自由に生きている人って羨ましいもんですしね。(とはいえそんな詳細はもちろん描かれてなくて、あくまでも個人的妄想ですw)

有華ちゃんはこれから、色んな仕事に出会って表現の幅を広げていってくれると思う。 ファンとしてはそうやってどんどんパワーアップしていく有華ちゃんの背中を推していきたいと思うわけです。

でも一方で、表現の引き出しがあまり多くない時にはその時にしか出せない「くすぐったさ」とか「瑞々しさ」があると思う。 鷲宮物語は有華ちゃんがずっと留めておくことの出来ない「くすぐったさ」とか「瑞々しさ」が真空パックにされているような作品だと思う。 そしてこうやって、作品として「くすぐったさや瑞々しさ」が残ってることが本当にうれしいのであります(照)

いずれにせよ、一番重要なことは・・・・

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巫女さん姿の有華ちゃんが尋常じゃない程可愛いってこと・・・♥

カッコよくも、可愛くも、親しみ安くも、手の届かない存在にも・・・。色々な顔を見せてくれる有華ちゃんがやっぱり私は大好きやー。

限られた一部の人しかこの映画が見られないなんてほんともったいないなー。

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