苦役列車

苦役

1986年。日雇いの肉体労働でその日暮らしの生活を送る19歳の青年、北町貫多。稼いだお金も家賃より先にお酒と風俗に消えてしまう自堕落の日々。そんなある時、職場で新入りの専門学生、日下部正二と知り合い意気投合、初めて他人と友達らしい付き合いをするようになる。やがて貫多は日下部に協力してもらい、秘かに想いを寄せる古本屋の女性、桜井康子とも友達になることに成功、思いがけず人並みの青春を謳歌し始めるのだったが…。

興業的に大ゴケなんて言われているけれど、良い映画だと思う。ただ、一言「運が無かった映画」としか言いようがない。 その件については後術。

父親が性犯罪者で一家離散。中卒でその日暮らしの日雇い労働者貫多。趣味は読書。 人生諦めているかのように見えて、「書きたい」という強烈な衝動を持っている。だけれどどうしようもないクズ野郎。
正二に電話番号を聞くシーンでは、「あっ、私なら絶対教えない」と思った(苦笑) 絶対自分の人生には、キャスティングしたくない、ダメ人間。

でも、嫌いにはなれない奴。

痛々しい自意識とプライドで、せっかく友人になった正二と康子を自ら手放してしまう。その背中は自業自得と一言では片付けられない哀愁がある。

なんていうか、誰しもが強烈な自意識を持ってると思うんですよね。でも、成長するなかで、その折り合いの付け方がうまくなるだけ。 でも時々、部屋で悶々と自意識と戦う時って、あるわけで、自意識全開で生きている寛多はある意味とてつもなく眩しい。私にとってはね。

寛多を演じる森山未来君。素晴らしすぎます。今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされましたけど、興業収入に足を引っ張られてしまった印象。 もう少しヒットしていればと思わずにはおれない。

友人の正二を演じる高良君。 「前途有望な若者像」を、しっかり具現化してくれるものだから、寛多の痛々しさがより際立つ。 役者としての前途有望な感じもビンビン伝わってきて、私のような目線で演技者を応援している身としてはすげー嫉妬する存在。 これからもどんどん良い役が回って来るんだろうなーって思う。

 

そして、康子を演じる敦子。 見てない人からは低評価。見ている人からは高評価。 なんなんだよ、この構図は!とツッコまずにはおれないけれど、彼女が身を置いているフィールドがそういう物なんだから仕方ない。

そもそも敦子自身がそれをわかっているんだから、女優前田敦子の成長を楽しみにしている、一人としては「負けるなよ!」としか言えません。 良い素材なんだけどなー。

GW-07584

「やっても・・・好きにならないよ」

言葉の置き方、間の取り方、そしてどっかにいそうな「中の中」的ヒロイン感。 出番は少なかったけれど、日本酒のように沁みる敦子の演技、堪能しました。 でも、もっと見たかったなー。

結局前田敦子っていう人は、あと数年は正しく判断されないんだということがこの映画を見てわかった。それは良い判断も悪い判断も。

言い方は悪いけれど、彼女自身は地味な子なんですよね。 本人もそれはわかってるわけ。 というか、彼女を好きな人はだいたいそう思ってるわけですよ。

輝くような天性の才能も無いんです。 誰からも愛されるような、求心力も無いの。 ファンサービスとかも上手いこと出来ないのよ(苦笑)

でも敦子の凄さは、それを全部自分でわかってることなんですよね。 我々が想像出来ないほど、チヤホヤされてきただろうに、己を知ってるのよ。 そして、それが素敵なのね。

だから、見ているこっちが寒々しくなるほどにストイックな女の子なのです。 そして、怖いほど自分を俯瞰できるわけです。

「才能がある人こそが、あるべき場所に治まるべき」 というあまりにも正しい主張を、ぶち壊してくれるアナザーヒロインなんですよ。敦子は。

そういう才能が彼女にはあるわけです。 複雑な才能なのよね(笑) 理解されづらいけど、確かにそういう才能もこの世には存在していると思う。

古本屋のレジにチョコンと座っている康子さんの姿は、そういう敦子の才能とガッツリ重なって、とってもしっくりくるものだったと思う。 うん、でも出番少ないんだけどさっ。

ちなみに最新作クロユリ団地についてはホラー映画のため、チェキしない予定ですw

最後にこの作品の運の無さについて。

原作者がケチをつけたというのがたぶん、興業収入に少なからず響いたと思う。 誰だって原作者があんなケチの付け方したら見に行く気はなくなりますよ。
でも、原作者の西村さんは、どんな映画になったとしてもケチつけてたと思いますよ(笑)

だって、寛多=西村さんなんだもん。 あれだけの自意識を持った人ですから、一種のサービス精神の一環で叩きますよ、作品は。

敦子より、ゆきりんの方が良かったとかいう発言だって、西村さんという人を考えれば、ド直球に受け止める言葉でもないわけです。

運がなかったよね。いい作品だけど。

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  • Comments ( 4 )
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  1. お久しぶりです!(^^)/
    というか、コメしてるとこが前すぎますね(^_^;)

    苦役列車、私も最近CSで見ましたv
    森山未来は底知れないですね~w西村氏が叩いたのもなんとなくわかるような気がします、まぁ誰がやっても西村氏にはなれない気もしますがwww
    でもこういう自意識全開の役がほんとうまい子ですね、モテキもドラマがすごくよかったなぁv映画はPerfumeとのダンスが可愛すぎてそこだけ繰り返し再生しまくってしまいました(笑)

    • posted by アオタ ウタコ

      >hitomiさんへ

      コメありがとうございます♥

      森山君本当に凄いですよね~。苦役での彼は本当に凄まじかったです。だからこそ原作者のケチの付け方が残念でなりません。
      「これは俺の作品なんだ、俺のものなんだ、だからどう文句をつけようが勝手だろ」という西村氏の自意識みたいなものは十分わかるのですが、それはたぶん作品の出来と関係なくどんな作品でも、叩いてたんだろうなーと、ふと思ってしまったり(汗)

      「大ゴケ」なんてこの作品が叩かれるのを見る度に、ちょっと悔しかったりしますw

      モテキまだ見てないんです。絶対みなきゃ!とずっと思っているのですが・・・・Perfumeとのダンスチェキしてみます!

  2. モテキ森山未来×Perfume見つけたのでよろしければどうぞ♪

    http://youtu.be/NwsEAB2p_ro

    perfumeはもう存在が大好きなんですが、森山未来のダンスのしなやかさに釘付けです、さすがご両親仕込みw

  3. posted by アオタ ウタコ

    >hitomiさんへ

    わー♥ ありがとうございます♥♥♥

    perfume×未来君・・・・可愛い(*´∇`*)
    未来君男の子なのに、パフュさん達とのシンクロ率ヤバいですね!
    しなやかすぐる!

    6人バージョンのももクロの走れも熱い!!!!!
    チョイスのセンスが抜群!すごいわー♪ ♪

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