痞子英雄 12話~最終話(24話)中編

前編はこちらから。

物語後半部は、色々なことが起こり過ぎて主要キャラ三人(在天、英雄、陳琳)の軸がややブレていたように思った。(その理由は後述)

これだけ、大きなストーリーを扱うと、人物描写をあまり深く掘り下げられないのも致し方ないのかなと。 ただ、最期までテンションを落とさず見られたのは、脇役の大活躍が大きかったと思う。

私的には後半部の主役はこの人だった。

痞子英雄~black&white~ 12話~最終話(24話)後篇

小馬♥

いやー、カッコよすぎだったね。 わたしの「台湾ドラマ脇役キャラランキング」堂々第一位ですわっ。 バックボーン、登場の仕方、エピソード、キャスティング、全てがパーフェクト。

まずは登場に仕方(掴み)について。

小馬の登場の仕方は導入、疑惑、疑惑の裏付け、驚きの順に進んでいく。 これが実に見事。

導入部
人の良さそうなホットドック屋の青年として登場。南署の署員ともすぐ打ち解ける。 「優しそうな青年だなー」

疑惑
爆発現場で撮影された写真に小馬を発見。 殺人事件の現場で目撃されたことによって疑惑が膨らむ。 「あの優しそうなホットドック屋の青年がまさか敵なの!?」

疑惑の裏付け
行方不明になった陳琳の横には小馬が。 「あー・・・・完全に敵じゃん。陳琳逃げてー!!!」英雄が小馬から陳琳を救出。御縄にする。ところがめでたしめでたしの場面で、夜行者が登場。

驚き
1対2で絶体絶命の英雄。命を奪われる寸前で、捕まえたはずの小馬が登場。 格闘チャンピョンの英雄ですら叶わない双子(夜行者)に、たった一人で圧勝。 「えっ?めっちゃ強い。 味方だったの?」

優しそうな青年→敵→最強の味方という流れが神。 その上、双子をたった一人で倒すという超人的な戦闘能力まで披露ときたら・・・もうヨダレがとまりませんよ。

こういう、ハードボイルド物はキャラクターをいかに登場させるか?も、物語を盛り上げる重要ポイント。 そういう意味では小馬の登場の仕方は完璧だったと思います。

バックボーンについて。

ドラマでは色々な組織が出てくるけれど、戦闘面で言えば間違いなくサルコジが最強だったと思う。(警察でも三連会でも夜行者でもなく)

徹底して行われる訓練に加え、善悪の区別をわからなくさせる脳の手術まで施されていれば、当然警察では手に負えない相手。 ましてや、事件の真相がわからない警察に比べて、黒幕からの指示によって行動しているサルコジは情報戦でも有利。

当然、在天や英雄が勝てる相手ではないわけですよ。プロの殺人集団なのだから。

では何故?ドラマでは在天英雄VSサルコジが成り立ったのか? 答えは元サルコジの小馬という男がいたからでしょう。

サルコジの怖さを痛い程知りつつも、自分を取り戻すため戦う男、それが小馬なのです。 単純に戦闘能力に秀でているだけではなく、元サルコジ出身という彼の驚きのバックボーンが後半パートのスリリングな展開を違和感のないものにしていると思う。 彼がいなかったらどうやったって、在天や英雄が立ち向かえる相手ではなかったはず。そういう意味では小馬のバックボーンが物語に厚みを持たせたのではないかな。

エピソードについて。

何故彼はサルコジを抜けたのか?ここに大きなエピソードがある。 陳琳と共にサルコジから追われる中で、命がけで小馬が語るエピソードが素敵です。

セリフで抜粋。

「サルコジは全員脳の手術を受けると話したよね。手術の結果、道徳観念も感情も失われる。 ある時爆破しようとした車のそばに少女がいたんだ。 その子の笑顔を見た時・・・・僕の中に感情と愛情がよみがえった。それ以来任務へのためらいが生じた。哀れみの感情がどうかは僕にもわからない。とにかく手術は失敗だったんだ。僕は簡単に人を殺せなくなってしまった。仲間のようには・・・・。その少女は今、僕の目の前にいる」

このセリフを言った後、陳琳を守るためたった一人でサルコジの前に飛び出していく小馬。カッコよすぎる。

ヒロインの絶対絶命の危機を救うのは主役だけれど、このドラマはそうじゃないところが良いんです。 皆が(英雄、在天、小馬)陳琳を好きなのはちょっと胃に重いけど、エピが素敵だからあんまり気にならなかったな。

あとこのシーンそのものが良くてねー。 「逃げろ」と言ってたった一人ででていく小馬に対して、逃げずに共に戦う陳琳がマジで素敵なんです。 普通の少女ならマシンガンぶっ放しませんよ。 ヨダレポインツ100♪

キャスティング

小馬を演じるのは修杰楷。 修君です。 いかにも強そうな人とか、わかりやすく影がありそうな人じゃなくて、修君をキャスティングしたのが味噌。「いかにも」なキャスティングじゃないからこそ、奥行きが広がるんですよね。 蔡導演も修君には当然思い入れがあるだろうからどうやったら美味しく仕上げられるかしっかり考えていたと思う。

修君のハニカミがまたいいんですね。 あんな強いのに、可愛い顔で笑うから、そのバランスにますます萌えましたよ。

陳琳の次に小馬が好きです。 本当にいいキャラでした。

後半部のエピと、在天と英雄について。

後半部のエピは物語としては面白いけれど、反面、キャラの掘り下げ方については物足りない部分もあった。
ただし、ブーブー言うつもりは無いんです。これだけの題材を扱うとキャラを掘り下げる余裕もないだろうし、人物描写に時間を割くと劇中のスピード感が損なわれるから、このぐらいのバランスで良かったのかなーと思ってます。

「掘り下げが甘いのをもったいない」と思ってしまうのは、演者さんの熱演故。 「点」を演じる演者さんのテンションが凄かった故に、線の甘さを残念に思う。←こういう思考回路。

英雄と陳琳の関係もサラッと終わりかと思ったら、後半部の出生エピで再度出てくる。

痞子英雄~black&white~ 12話~最終話(24話)後篇

英雄が涙ながらに陳琳へ思いをぶつけるシーンはマークの演技魂が炸裂していたなー。でっかい点をしっかり打ててた!! でもだからこそ、陳琳と英雄エピがここまで紡いできた線の弱さが目立つ(泣)

英雄が陳琳を好きになるエピソードが物語全体としているのか?ずっと疑問におもっていたけれど、後半部の出生エピで納得。 たしかに盛り上がる要素は満載だよね。 主役2人が同じ人を好きになると言うのも、王道。しかもここまでタイプの違う二人を描写するのであれば、真ん中に女の子を立たせたくなるのもわかる。

そう、狙いは十分すぎほどわかる。わかるのだけれど、それに成功しているかと言われると、成功してないんじゃないかなーと思うのです。

このエピの前に、慕莎と一夜を共にする描写があったのも線が弱い理由の一つだし、そもそも英雄が陳琳を想う描写がここまであんまり出てこないんですよね。 確かに陳琳のために信念を曲げるというエピはあったけれど、「陳琳を愛しているから」という部分は全然感じない作りだった。

あと、超個人的な考えだけれど、マークは美人さん/シュッとしたタイプの女優さんと似合う。 アイビーちゃんとマークはビジュアル的にもあんまりお似合いじゃなかったかなって。慕莎@ソニア嬢とマークの似合い度加減が高すぎたから余計そう思ってしまった。 もちろん西英@チュンニンちゃんとのお似合い度も抜群。一番マークに似合わないのはアイビーちゃんじゃないかなー。

なんか仲の良い兄妹って言う感じ。 えっ・・・!? 逆に成功してるか(笑)

とはいえ、このシーンで泣けなかったのは残念だったなぁ。 線を強くしてくれていれば、切なすぎて号泣できたろうに・・・。

ブーブーではないんです。マークの迫真の演技に、自分の気持ちが答えられないのがただただ残念だっただけ。せっかくのでっかい点を消化出来なかった事に対する物足りなさ。感情移入って線が強く無いと難しいもんですね。

それ以外に足りないなぁーと思ったのは在天が事実を知った後の描写。 人生を弄ばれたと憤慨する在天にあんまり共感出来なかったかな。

たしかに、いきなり別人にされたら怒るのも無理はないけれど、弄ばれたエピがないし、今の在天が現在の生活にドップリ使っているから、あのシリアスなシーンが唐突に感じてしまった。

あと、陳琳と在天のエピもあとちょっとなのにおしい。(これは陳琳編で深く)

逆に小馬や慕莎の掘り下げ方は適切なんですよねー。慕莎なんか、登場時間は全然無いのにガッツリ感情移入してしまいました。 彼女のバックボーンは詳細には描かれなかったけれど、好き好んで暗殺者/スパイになったわけではないことは容易にわかること。 英雄と一夜を共にしたあと、背中にキスをするシーンでも英雄への気持ちに嘘がないことがわかるし、英雄を裏切った後、お風呂につかりながら考え事をするシーンで彼女の気持ちが想像出来る。

ここで描かれていない、かつての二人のことだって想像できるし、アメリカで英雄と別れた後、慕莎がどういう気持ちで今日まで過ごしてきたかだって、想像しただけで切ない。

スピードが伴うエピソードの構築は本当に見事なんだよね。 じっくり描く部分の主要キャラはスピードとの兼ね合いと、物語の引力によって少し弱かったのかもしれない。 たぶん、出生エピとかなければ陳琳と英雄の恋愛パートって物語的にあんまり美味しくないもん。

弱い線に弱い点だったら軽ーくスルーしていたと思う。 でっかい点だったからこんなに熱く語ってるんだと思う。 ナイス俳優人でした。

次回の後篇は陳琳と在天エピをメインに書き足りない部分を埋めて行く予定。

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