腑抜けども、悲しみの愛を見せろ~自己愛の塊は美しいや~

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

頭のおかしな家族が繰り広げるブラックコメディー。最高に好きです。

監督・脚本: 吉田大八
出演:佐藤江梨子 、佐津川愛美 、永瀬正敏 、永作博美

funuke

解説
女優を目指して上京したものの全く芽が出ない自意識過剰の勘違い女・澄伽、かつて澄伽の秘密を漫画に描き暴露してしまったために彼女から壮絶ないびりを受ける妹・清深、姉妹の間で板ばさみになってしまう兄・宍道、お人好しの兄嫁・待子。澄伽の帰省をきっかけに巻き起こる一触即発の人間模様を、ブラック・ユーモアたっぷりに描く。

愛憎入り混じった、頭のおかしな家族が、のどかな田舎町で色々やらかしまくっていきます。冒頭から血まみれシーン。ハードなんだけどね、でも美しくて笑えます。

こんな田舎町私のいる場所じゃない!と吐き捨て、上京した女優志望の澄加。しかし誰が見ても才能なんかない。当の本人は「実力が出せないのは周りの環境のせい」と本気で思ってる。
苦しい家計の実家に仕送りしろと要求するし、それを拒まれれば刃物を持ち出す。意識過剰で自己愛の塊。さらには妹を容赦なくいたぶる。最低な女です。でもおもしろいんだよね、この人。外から見ている分には最高に面白い。

自意識過剰な人は「ダサい」って捉えられちゃうけどね。私は好きなんですよ。むしろ美しいと思うのね。多くの芸術家や偉人は自己愛の塊だからさっ。そういう人たちの作品を見て「うっとり」したり「興奮」したりするわけですよ。私はむしろ「出る杭は打つ」という感覚こそダサいと思ってる。もちろん反社会的行為に足を踏み込んでしまうような自己愛の持ち主は、論外ですが。

澄加は才能はないけど、特別な人ではあります。特別におもしろい。

そして、いたぶられながらも、そんな姉の面白さに抗えない妹の清深。歪み方が異常です。姉にいじめられればいじめられるほど、「あーお姉ちゃんって最低最悪でおもしろすぎる」と思ってるのよね。澄加の歪な自己愛が清深によって芸術に昇華していく。そして最後のあの結末。おもろすぎる。

登場人物の中では永作さん演じる待子が一番笑える。施設で育った彼女は家族の愛を知らない女性。「家族に対するあこがれ」が強すぎて、最低な家に嫁いだにも関わらず現状に凄く満足してる。それがおかしくて、おかしくて最高です。最低な一家の中で、「家族っていいですね」とか笑顔で思ってる。

サトエリちゃんは、決して演技派ではないと思うんだけど、澄加にはぴったりだったな。若干セリフまわしに難があるけど、逆に澄加的だった。あと中盤下着になるシーンが美しすぎ。

おもろい映画でした。

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